大判例

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最高裁判所第三小法廷 昭和24(オ)235 判決

主 文

本件上告を棄却する。

上告費用は上告人の負担とする。

理 由

上告理由第一乃至第四点について

しかしながら原審挙示の各証拠を綜合すれば原判決の判示事実を認定するに十分

である。所論甲第一号証の記載は必ずしも所論の如く解さなければならぬものでは

ない。又「見本として送つて貰つたものであるから売買契約は成立せず、代金支払

の義務はない」という趣旨の所論陳述は、売買契約の所謂積極否認であつて独立の

主張でないから、原審が証拠により「現品を見て気に入つたら買受ける」という所

論の趣旨で見本を送つて貰つたものと認定したとて、当事者の主張せざる事実を採

用したという問題を生ずる余地はない。そして原審挙示の各証拠によれば被上告人

は「現品を見て気に入つたら買受ける」趣旨で上告人より見本を送つて貰つた事実

を認め得るから、原判決は証拠によらずして事実を確定したということはできない。

次に「見本なるが故に売買契約は成立せず、代金支払の義務はない」という趣旨の

被上告人の所論陳述は上記の如く単に被上告人の積極否認にすぎずして独立の争点

を為すものではなく、これに対する上告人の抗弁ということもあり得ないからこの

点について原判決に判断遺脱の問題は生じ得ない。従つて論旨は何れもこれを採用

することができない。

上告理由第五点について

しかしながら証拠排斥の理由はこれを説示することを要するものではない。論旨

は理由がない。

上告理由第六点について

しかしながら上告人が原審において主張したところは、「見本」なる語は商人間

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の取引においては謙譲の儀礼的意義を以つて使用する慣用語であり、字義通り「見

本」と局限して解すベきでないというのであつて、(昭和二四年七月六日附準備書

面)未だ所論の如く商慣習の存在を主張したものと認められないから、原審がその

有無につき判断しなかつたのは当然で論旨は採用することができない。

よつて民訴第四〇一条、第九五条、第八九条に従い主文の通り判決する。

右は全裁判官一致の意見である。

最高裁判所第三小法廷

裁判長裁判官 長 谷 川 太 一 郎

裁判官 井 上 登

裁判官 島 保

裁判官 河 村 又 介

裁判官 穂 積 重 遠

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